将来が分からないからこそ計画を立てる
(1)
- いまは売上も上がっているし、利益も出ている。でも、いつまで好調が続くのか、わからない。
- 新しいことを始めたいが、初期投資もかかる。本当に大丈夫だろうか?
何年も、売上が変わっていないのであれば、いつかは売上が減りはじめるときが来ます。
だからこそ、何を、いつまでにやるのか、決めておくことが大切です。
では、何をやって、どのように収益を上げていけばいいのか。
私たちは、社外CFOとして、このような状態の会社が、一段階ステップアップするためのお手伝いをし、大変ご好評をいただいています。
私たちは、社外CFOとして、このような悩みにお答えし、大変ご好評をいただいています。
とはいっても、占い師のように将来をのぞき見れるわけではありません。社外CFOとして、財務やその他のデータに基づき、「合理的な予測」を立てるのです。
つまり、客数や単価、貴社のキャパシティなどに基づき、売上予測を立てます。また、過去のデータや経験に基づき、経費予測を立てます。
そして、会社の血液である資金繰りはつながるか、社員は対応できるか、お客様はついてきてくださるか、金融機関はついてきてくださるか、など、全体の構想に問題がないか、検証します。
これらを、すべて数字で表していったものが、「予算書」または「経営計画書」です。
確かに、この方法で「必ず勝てる」という保証はどこにもありません。しかし、「明らかに無理がある」ものを排除することはできます。
サッカーで言えば、はじめから枠の外にシュートを打ってしまうことを避けられるのと同じです。
さらに、もし投資に失敗してしまった場合には、以下のような事態が考えられます。
- 赤字計上
- 債務超過
- 銀行の融資打ち切り
- 倒産
私は企業再生コンサルティングに従事していたとき、投資の失敗をしたものの、倒産を回避できた会社と、残念ながら倒産してしまった会社の両方に、何度も関与してきました。この経験から、
まず、成功シナリオと、失敗シナリオの双方の、数値シミュレーションを行います。
失敗シナリオとなった場合でも、安全圏(少なくとも黄色信号)にとどまるための方法を一緒に検討いたします。
そのうえで、成功シナリオに「うまみ」があると判断すれば、実行していきましょう!
また、「十分に計画を練って実行すること」と同じくらい、「予定した通りの結果になっているか検証すること」が重要です。
これについても、合わせてお手伝いさせていただきます。
理念でもビジョンでもなく、生き残るための目標数値
まずは、3〜5年先の会社像を、明確にしなければなりません。
経営理念やビジョンなどという壮大なものではありません。もっと明確な、生き残るために必要な目標です。具体的には、以下のようなものです。
- いま、当たり前のように売れている商品は、いつまで売れ続けるのか。
- 社員の給料をどのくらい上げていかなければならないのか。
- 競争相手を引き離すために、人・設備・広告などに、どのくらいの投資が必要か。
- 上記のためには、どれくらいの利益が必要か。
そして、成り行きの損益、つまり「現状のままだと、どのくらいの売上と利益になるか」を明確にします。
こうしたものを、言葉と数字にしていくことで、経営者にも、会社のメンバーにも、危機感が生まれます。
そして、成り行きと目標の差額が、やらなければならない数字です。
枠を外すシュートは打たない
やらなければならない数字が決まったら、次は、どのように、それを達成するかを、決めていきます。
売上を増やすのか、経費を見直して利益率を高めるのか、不採算の取引を減らすのか。
売上を増加させるために、新しい商品やサービスを投入するのか、既存の取引先を深耕するのか。
新規顧客を増やすのか、リピート率を高めるのか。
新規出店を進めるのか、卸売に力を入れるのか。
業種や会社によって、パターンは違いますが、いずれの場合にも、
目標を数値化して、コストを見積もり、収支のバランスがとれるような方法をとっていけばいいわけです。
もちろん、予想外のコストが発生したり、想定以上に時間がかかったり、という問題は起きます。
イメージとしては、事前に予想できるのは全体の60%くらいで、40%は予想できません。
ですから、計画も実行しながら修正していくこととなります。
それでも、計画を立てることには、2つの重要な意味があるのです。
それは、(1) 枠を外すシュートを打たないことと、(2)想定外だったことを、きちんと認識するためです。
(1) 枠を外すシュートを打たない
綿密に計画を立てておけば、60%の問題は回避できます。
この方が、まったく無計画で実行してしまう場合よりも、成功する確率は、ずっと高くなります。
(2) 想定外だったことを認識する
新規プロジェクトで赤字が出た場合を考えてください。
何の計画もないと、それが、失敗だったのかどうかも、リカバリー可能なのかどうかも、わかりません。
予測を立てたうえで、実績と比較することで、会社も、実行している人も、問題をクリアにして、対策を打つことができます。
社員のやる気にもつながる
経営計画は、会社を成長させるための戦略を、具体的な行動に落とし込んだものです。
ですから、経営計画は、会社のメンバーに対して、「私たちは、このようにして成長し、社員の給料も増やしていきます」という指針としての役割を果たします。
また、経営計画をつくるときには、現場の意見を取り入れていきます。
もちろん、すべてを反映することはできませんし、現場にとって都合がよいだけの意見ならば、取り入れたりはしません。
会社をよくするために、社員が一生懸命考えたアイディアが、経営計画に反映され、実行されていけば、モチベーションは大きく高まります。
ですから、経営計画をつくることが、社内のコミュニケーションを生み出す場にもなりえるのです。
これと、人事制度を組み合わせることも有効です。経営者の本気度が伝わった瞬間に、社内の雰囲気や、モチベーションはガラリと変わります。