社外CFOの活用事例(6)採算ラインの設定

6. 受注するときの採算ラインが、はっきりさせたい

安売り合戦だけが、価格競争ではない

マーケットが拡大しているときや、競合相手が少ないときには、ほとんどの会社が、十分に採算をとって経営することができます。

しかし、ほとんどのビジネスにおいて、マーケットはいずれ縮小していきます。
また、参入障壁が低い業種であれば、あっという間に競争相手が増えていき、過当競争の状態に陥ります。

そのときに起きるのが、価格競争です。

価格競争には、いくつかのパターンがあります。

1. 安売り
これが、もっとも分かりやすい価格競争といえるでしょう。
取扱っている商品やサービスを差別化しづらい場合、とりわけ法令や顧客の要求にしたがって商品、サービスを提供しなければならず、独自企画を提案しづらい場合などに、安売り競争が起きます。
建設業や、印刷業が典型例です。ホテル業も、時期によって、安売り競争が収益を圧迫します。

2. 高値買い
いわゆる仕入業種で、起きる価格競争です。
売価は変えられないので、いかに安く買えるが勝負、という業種では、高値買い競争が起きます。
不動産業、貴金属の買取業などが典型例です。

3. 広告合戦
YahooやGoogleのリスティング広告の価格を引き上げ、または投入金額を増やせば、露出が増加して、売上増加につながります。
リスティング広告は、誰でもできる営業活動ですから、他社と差別化することは、なかなかできません。
これでは、価格競争しているのと同じことです。運送業や旅館業など、ネット集客しやすい業種で、よく起こります。

4. サービスの追加合戦
NTTフレッツの代理店が行うキャッシュ・バックやプレゼント・キャンペーンなどが、これにあたります。
プレゼントも一種の値引きですから、過剰サービスによる価格競争の一種といえるでしょう。
ただし、この競争をしている限り、まだまだ過当競争には陥っておらず、価格水準を保てている業種といえます。

過当競争に陥った業種で生き残るためには

過当競争に陥った業種で、生き残っていくためには、(1)商品・サービスの差別化と、(2)採算ラインの線引きの2つを、徹底して行うことが必要です。

 

大切なのは、この両方を、きちんと行うことです。
数えきれないほどのビジネス書の、どれを読んでも、上記(1)と(2の両方を同時に行わなければならないことを、説明していません。

 

私たちが、社外CFOとして関与した会社で、利益率を大きく伸ばした会社や、赤字から脱して黒字化に成功した会社は、必ず上記(2)の採算ラインを守るというルールを徹底し、そのうえで(1)の差別化を行っています。この順番も、とても大切です。

 

取り立てて言えるような差別化ができていなくても、採算ラインを守って取引を続けることで、利益を出せるようになった会社はあります。
一方で、採算ラインを守らずに利益を出せるようになった会社を、私は知りませんし、不可能に等しいものなのです。

 

だからこそ、会社のビジネスモデルに応じて、採算ラインをとれるような線引きをすることが重要です。
線引きの仕方も、売価の目安、仕入価格の目安、広告費の目安など、その会社の状況にもっともふさわしい方法を取るべきです。

 

これらを見極め、正しい採算ラインを決めること。
例外として認める場合と、認められない場合を、きちんと判断すること。
会社の変化に合わせて、採算ラインの考え方を見直していくこと。

 

これらが、社外CFOの役割です。

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