社外CFOの活用事例(5)株式公開

5. 上場を視野に、できることをやっていきたい

上場を念頭におきながら、今やるべきことをやる。

多くのベンチャー企業の経営者にとって、上場は、一つの目標です。

このページは、次のような経営者を想定して書いています。


  • 上場を目標にしていて、当然の通過点だと考えている。
  • 上場は、できるならしたい。ただし、デメリットもあるようなので、どういうものなのか、理解したい。
  • ぜひ上場したい。ただ、そこまでたどり着くかどうかは、わからない。
  • 上場するつもりはない。ただし、できないのではなく、しないだけだと主張したい。

ここでは、株式公開の詳細ではなく、あくまで、公開のためのCFOの役割について記載していきます。

株式公開できる会社とは

では、株式公開できる会社とは、どういう会社なのでしょうか。 極論すれば、次の2点に集約できます。


1. 証券取引所の収益源になってくれる会社
2. 証券取引所の評判を落とさない会社


それぞれについて、以下に解説します。


1. 証券取引所の収益源になってくれる会社
証券取引所の収益は、上場企業の株式を、投資家が売買するときの手数料です。 基本的には、会社が大きくなるほど、多くの株式が売買され、取引所に大きな収益をもたらします。
ですから、大規模な会社、成長を期待できる会社、利益の大きな会社に、上場してほしいと考えています。

2. 証券取引所に迷惑をかけない会社
上場している企業が、株式を買った人に損をさせてしまうと、その取引所も信用を失います。 ですから、以下のような会社を上場させないよう、徹底して審査します。


  • いまは儲かっていても、将来、安定して成長すると確信が持てない会社
  • 期限どおりに決算を公表できない会社
  • 粉飾決算をする会社
  • 約束したとおりの利益を、きちんと出せるかどうか、わからない会社
  • 反社会勢力との関係を持ったり、法令遵守の意識が低く、バッシングを受けそうな会社

早めに準備を進めることが、プラスになるもの

上記の要件について、証券会社と取引所から審査を受けるのが、上場審査です。


ここで、上場準備のなかには、実際に審査のときにやればいいことと、早めにやっておくことがプラスになることの、両方があります。


まず、公開準備業務のうち、以下のものは、早い段階から準備を進めることをお勧めしています。 これをやること自体が、会社のレベルを引き上げるからです。また、これを先にやっておくほうが、実際の上場審査がずっと楽になります。


  • 予算管理
  • 月次決算の早期化
  • 部門別損益の明確化
  • 資金繰り表の作成と資金管理
  • 上場レベルの経理の構築

たとえ非上場でも、大企業はすべて、これらをやっています。 つまり、たとえ上場しなかったとしても、会社が成長していくために、必要な課題ということです。
ですので、社外CFOとして、まずは、これらの対策から始めることを、お勧めしています。


反対に、以下のようなものは、急いでやる必要はありません。

  • 内部統制報告書(いわゆるJ-SOX)の作成
  • 有価証券報告書や決算短信の作成
  • 中期経営計画所の作成

いずれも、決められたフォーマットで書類を書く作業です。仮に上場をしなければ、作業自体が無駄になってしまいますので、早期に手をつける必要はありません。

社外CFOを利用するメリット

このような、将来の上場に向けた準備の段階では、社外CFOを使われるのが、大変有効です。 主なメリットは、以下の通りです。


1. 突貫工事よりも丁寧で、コストも安い
上場の直前になって対応をしようとすると、監査法人や証券会社に依頼して、突貫工事をすることになってしまいます。 それよりも、社外CFOを利用するほうが、丁寧に仕事を仕上げることができます。ですから、管理のために導入したルールが、現場に迷惑をかけてしまうようなことも、防げます。
また、報酬も、突貫工事の料金よりは、抑えることができます。


2. CFOをゆっくり育てることができる
いざ、上場準備を始める段階で、CFOを用意することになると、外部から高い報酬で雇わなければならない可能性も高くなります。また、そのときに、適切な人材を見つけられるとも限りません。 社外CFOを利用しながら、自社のCFOをゆっくり育てていく方が、経営者にとっても、会社にとっても、プラスになる可能性が高いといえます。


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