パニックを落ち着かせるために
本当に、自分の会社が倒産するかもしれないと思われて、この項目を読まれている会社の方に、「落ち着いてください」「パニックにならないでください」と言っても、難しいと思います。
その代わりに社外CFOである私から、この質問をします。
- いま持っているお金と預金を、紙に書き出してください。
- 1か月以内に入ってくる金額を、紙に書き出してください。
- これから支払わなければならない相手と金額を、紙に書き出してください。
- 最後に、3. に書いた相手のうちで、少し待ってくれそうな相手に、丸で囲ってみてください。
これらを見て、まだ1か月以上は大丈夫だと思われる方は、この先をお読みください。
もう、1か月も持たない。どうしようもない、考える気力すらわかない、という方は、いつでもお電話ください。メールでも構いません。
最初から報酬をお願いすることはありません。「少し楽になった」と言っていただければ、それだけで十分です。
誰でも1度は通る道
経営者の方でも、実際に倒産を経験した方は、少数です。
しかし、倒産しそうになった、という経験をしていない方も、実は少数なのです。
世の中の有名企業や、その経営者の方であっても、ほとんどは、同じです。
私自身、社外CFOという仕事をしていますから、倒産の危機を感じることは、何度もありました。
でも、実際に倒産してしまったことは、ありません。(そのための社外CFOですから)
また、同じ状況であっても、会社の大きさによって、生命力が変わります。
通常は、会社が小さくなるほど、危機的な状況でも、復活できるチャンスがあります。
ですから、倒産の危機は、誰もが通る道ということと、多くの場合は、諦める必要はないということです。
それを頭に置いて、ぜひ、これ以降をご覧ください。
状況によって対応が変わる
倒産の危機を感じているならば、その状況を見極めることが必要です。
現在の状況を、大きく4つに分けて考えます。
1. 心配するほどではない
この段階で、倒産の心配までされる経営者の方は、もっとも健全な危機感を持っていると言えます。
以下の2(1)〜(3)の、症状が軽い会社が、これにあたります。
2-(1) 黒字倒産型
売上が拡大し、売掛金や在庫が増えていくと、黒字のはずなのに資金がない、という状態に陥ります。
この状態で、予想外の悪いことが起きると、またたく間に倒産してしまうことがあります。
リーマンショックや震災時には、こういう会社が多くありました。余裕があるときに、防止策をとっておくべきです。
2-(2) 大きな失敗で危機を迎えた場合
大きな買収や、出店で失敗した、という場合がこれにあたります。
本業が黒字であれば、必ず立て直せますが、その失敗に引きずられて、本業も悪化する場合があります。
また、多くの場合は、当面の資金繰りで苦労することになります。
このようなときは、銀行などに、十分に状況を伝えて、支援を受けることが、とても大切です。
2-(3) 慢性的な赤字による倒産危機
1年(12か月)以上にわたり、実質赤字が続いている場合は、慢性的な赤字と考えるべきです。
気をつけなければならないのは、赤字の状態でも、会社は何年間か、続いていくということです。
そして、気が付いたら、大きな借金が復活の足かせになるのです。ですから、この状態にある会社は、いますぐに動くべきです。
この場合、資金がどこまで続くか見極め、赤字原因を分析し、対策を考える。そして、安易なコスト削減では、対応できない場合もあることを念頭に、経営資源をフル活用する方法を考える。
「7. 赤字を出してしまった!」をご参考に、どうやって黒字化していく方法をご検討ください。
3. 本当に復活は難しい
冒頭の質問で、資金が3か月も持たない。支払延期をお願いできる相手もほとんどいない、というだけでは、これに該当するとは、言い切れません。
経営者と社長が、この危機を乗り越えて、これからもやっていきたい、と思っているのであれば、復活できるチャンスは大いにあります。
また、自力再建の可能性がゼロでも、スポンサーを探すなど、方法はあります。最後まであきらめてはいけない、というのが原則です。誰もが通る道ですから。
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